なずなノート

お茶や暮らし、映画、日々の発見をぼつぼつと、ぶつぶつと

茶の湯

立冬のころ、炉のはじまり

暦の上では冬がはじまる「立冬」のころ。 茶の湯では、しつらえがかわる。 畳の一部を四角く切り、床下に茶釜を据える「炉」の季節がはじまった。 炉の点前となって最初のお稽古。 水指(みずさし)を両手で持って、運びの点前をはじめる。 すると水指をどこ…

お稽古の風景

久しぶりに出席したお茶のお稽古で、滝に打たれたような 衝撃を受けた。いや、実際に打たれたことはないので、あくまでイメージだけど。 夏の点前である風炉(ふろ)のお稽古が今年最終回を迎えた日。 今日こそお稽古します、と話す女性があった。 聞くと、…

清泉石上流

久しぶりに訪れたお茶の稽古場で、床の間に掛けられていた短冊。「清泉石上流」清泉、石の上に流るる短冊の下の方に、うっすらとブルーグレーで水の流れが描いてあることを先生が教えてくださった。台風が近づいて天候が荒れるほか、さまざまに気が焦るころ…

三週間ぶりのお茶のお稽古

終わり間際に駆けつけて荒くお稽古をして片づけをして帰る。 そんな不真面目な生徒であることに少々引け目を感じて嫌気もさし、 無理して行かなくてもと考えていたら結構サボってしまっていた。 「そろそろ来るころだと思ってました」と先生に迎えられ、 三…

「茶の湯釜の文様」

「茶の湯釜の文様」大西清右衛門美術館の平成27年春季企画展 後期千家十職の釜師・大西家に伝わる茶の湯釜のうち、文様に着目した展覧会。茶会を開くことを「釜をかける」と表現したりもするように、釜は茶の湯の席で最初から最後までその場にある。茶釜があ…

「組むたのしみ」テーマとのつながりは、さまざま

藤田美術館の展覧会「組むたのしみ」では、 所蔵品をどのように組み合わせるかというおもしろさを 教えてもらった。 訪れた土曜日だったので、学芸員が20分ほど展示について 解説してくださったので、「なるほどー」と思えるところが 多くあった。その覚え書…

「組むたのしみ」春夏秋冬の道具組み

藤田美術館で開催の展覧会「組むたのしみ」。2000点以上の所蔵品から、春夏秋冬にあわせた茶道具を取り揃え、道具を選ぶ楽しみ、味わいを提案する。春はひな祭りから始まり、端午の節句。夏は涼しげな瀧の図や舟、魚がモチーフの道具。秋は月見にちなんだあ…

風炉の季節が到来

5月になって茶の湯では「風炉(ふろ)」のお点前が始まった。 秋冬のしつらえ「炉」から、「風炉」へ。 畳をくり抜いた囲炉裏のようなところに茶釜を置く 「炉」は、客から見て火が近くに感じられる。 一方で「風炉」は、畳の上に炉と茶釜を置き、 客から火…

年に一度の「旅箪笥」

今年もやって来た。「旅箪笥(たびだんす)」のお稽古の季節である。 千利休が創案したという桐の木地の小さな箪笥で、 中に二段の棚があり、前戸を金具で施錠するしかけになっている。 旅箪笥を用いたお稽古は何通りかあり、 今回は茶入(ちゃいれ)をのせ…

お茶のお稽古も新学期

お茶の先生と話しているときに、先生もまたお茶を習っているのだと教えてもらった。 月に一回、宗匠の会で研鑽を積んでいるのだそう。 教える側ではなく、自分で点前すると見えてくること、 学ぶことが大いにあるのだとも。 「お茶とはこういうもの」と定義…

「千家歴代と樂歴代の茶道具ー利休のデザインと展開ー」

「千家歴代と樂歴代の茶道具ー利休のデザインと展開ー」 湯木美術館 千利休と長次郎が生み出し、樂家に400年以上受け継がれてきた茶碗。 千家と樂家それぞれの歴代の好みや作風に着目した展覧会。 とくに気になった作品数点をご紹介。 1.「三足蓋置」 今回…

2年ぶりにチャリティー茶会へ

朝日新聞チャリティーの「第六十一回 各流合同茶会」を訪れた。 煎茶および茶の湯の9流派が集まる大規模な茶会。 客は一席券または二席券を購入し、好きな流派のお茶とお菓子をいただける趣向で、 収益金が服しのために役立てられるのだそう。 会場は大阪美…

もうすぐひな祭り

もう一週間後には、ひな祭りが終わっているなんて気がつかなかった。ひな祭りのお菓子が並んでいるなとデパ地下で何となく見ていたけれど。今週、お茶のお稽古に行ったときのこと。桃をかたどったお菓子や、ひなあられが出てきて、「あ、もうそんな時期なの…

初めての「流し点て」のお稽古

茶の湯の点前(てまえ)というのは、毎回同じようでいてちょっとずつ変わる。 棚の有無や板を敷いてあるかどうか、夏の点前か冬の点前か…。 大まかな流れは同じでも若干違うところがあり、いつまで経っても覚えられない。 あるいは、それが飽きずに続けられ…

今週もお茶のお稽古に行く動機

穴があったら入りたくなるまぬけな失敗や、 先方の機嫌を損ねる失態をかさねる八方ふさがりな日々。 そんなときこそ必要な存在!それがお茶のお稽古なのかもしれない。 ふさぎ込んだ気持ちを上昇させてくれる、 とまではいかないけれど、少し距離をとるきっ…

久しぶりの濃茶点前

11月から「炉」*の季節になってから、おそらく3か月ぶりくらいに濃茶点前(こいちゃてまえ)のお稽古をさせてもらった。茶道の点前は大きく「薄茶(うすちゃ)」と「濃茶」の2種類があり、薄茶が前菜で濃茶がメインディッシュのようなに扱われる。「軽くお…

「雨奇晴好」お茶の初げいこ

新年明けて初めてお茶のお稽古へ。床の間の掛け軸には、「雨奇晴好(うきせいこう)」の文字。床の間にはお茶会の主題が掲げられている。北宋の詩人 蘇軾(そしょく)の詩の一節から引かれたもので雨が降るのもよし、晴れるのもよし。雨でも晴れでもそれぞ…

今年も「無事」お茶のお稽古が終了

今年最後のお茶のお稽古に参加した。 床の間には「無事」の短冊が掛けられていた。 「お茶の世界では、一年の終わりに感謝を込めて 『無事』の文字を掛けます」と先生。 行書体というのか、それとはすぐに読めないくらい 達筆な文字はアートを鑑賞するような…

藤田美術館「開館60周年特別展」

約30点の展示作品のうち国宝6点、重要文化財10点というオールスターキャストのような展覧会だった。藤田美術館は、明治に活躍した実業家 藤田傳三郎とその嗣子らが収集した東洋古美術品を春と秋の特別展で公開している。日本で最初期に作られたという蔵が展…

お茶の正月、炉の季節が到来

今週、お茶のお稽古に行ったら、炉に変わっていた。 夏の間は畳の上に茶釜と小さな火鉢のような「風炉(ふろ)」で湯を沸かすのが 冬になると、畳の一部を四角く切り、床下にしつらえた 小さな囲炉裏のような「炉」に変わる。 大人になったら進級することも…

「家元に伝わる茶の湯の道具(二)表千家歴代ゆかりの棚と水指」

表千家北山会館で毎年秋に開かれる特別展。 今年のお題は「家元に伝わる茶の湯の道具(二)表千家歴代ゆかりの棚と水指」。 棚のしつらえによって点前が変わることはわかっても それぞれの棚をどう使ったらよいのかは恥ずかしながら、さっぱり。 茶の湯を学…

霜降のころ、風炉の季節の終わり

暦の上では晩秋。露も霜となって降りるころ。 二十四節気の「霜降(そうこう)」は、今年は10月23日だった。 北の方から順に霜が降りはじめ、 秋雨が降り、秋が深まるころ。 秋の最後の節気。 昨夜の雷雨はそんな節気を思い出せないほど 激しくこわいものだ…

茶の湯の甘くないしょっぱい一面

祝日に、長めの時間をとったお茶のお稽古があった。 どういうわけか一つの茶碗を使って四人の客に薄茶をふるまう、 というお役目が与えられた。 お客となってくださるのは、みなさん目上の方々。 茶を点てて飲んでいただき、茶碗を返してもらって ふき清め、…

450年前に作られた茶釜の音にときめく「ニュイ・ノワール 夜咄」大西清右衛門美術館

織田信長に仕えたとされる釜師が450年ほど前に手がけた 茶釜の音を、いま聴ける不思議さよ。 「ニュイ・ブランシュ(白夜祭)KYOTO2014」の会場の一つ、 大西清右衛門美術館でのこと。 「ニュイ・ブランシュ(白夜祭)」は、パリで毎秋開かれる 一夜だけの…

茶の湯の音

久しぶりにお茶のお稽古に行くと、あることに気がついた。 それは、お稽古のなかで生まれる音。 静かな茶室にあって、耳をすませば音はあふれている。 茶碗を右手で持つか左手か、などと細かなプロセスに、ついとらわれてしまいがちだけれど、 目だけではな…

「酒井抱一の短冊で1年を楽しむ」湯木美術館 平成26年夏季展

「酒井抱一の短冊で1年を楽しむ ー待合掛けと茶会の道具たちー」湯木美術館 平成26年夏季展 夏らしく軽やかで、さわやかな心地がする展示だった。酒井抱一(さかい ほういつ)の短冊を中心にした展覧会。今回は時間が限られていたので主に短冊を見学した。…

「海を渡ってきた茶道具」

平成26年春季特別展 「海を渡ってきた茶道具 ーー名物記・茶会記に現れた唐物・南蛮・高麗ーー」 室町時代から江戸時代初期に海外から渡来した茶道具のなかで、 中国からの「唐物(からもの)」、東南アジアからの「南蛮」、 朝鮮半島からの「高麗」を中心…

「千家伝来の茶の湯釜」

平成26年春季特別展 開館十五周年記念 「千家伝来の茶の湯釜」大西清右衛門美術館 2014年6月 千家十職(せんけじゅっしょく)の一つ、釜師である大西家の美術館開館十五周年記念展。 表千家、裏千家、武者小路千家と三千家から 選りすぐりの茶の湯釜が集めら…

春の旅箪笥

桜が咲くころになると、旅箪笥(たびだんす)を思い出す。旅箪笥は茶道具の棚で、千利休が豊臣秀吉の小田原の陣に参じた際に創案したとされる。桐木地の携帯用の棚で、金具で施錠し、中に茶入や茶碗、水指、柄杓、蓋置などを収納する。 戦のあいだに屋外で…

平成25年秋季企画展 開館十五周年記念「初代浄林・二代浄清」大西清右衛門美術館

江戸時代の初めから三条釜座で工房を構える大西家は、 四百年にわたり、茶の湯釜を作り続けてきた伝統をもつ。 今回は大西清右衛門美術館の開館十五周年記念で、 初代 浄林(1590〜1663)とその弟で飛び抜けた名工ともいわれる 二代 浄清(1594〜1682)に焦…