初めての「流し点て」のお稽古
茶の湯の点前(てまえ)というのは、毎回同じようでいてちょっとずつ変わる。
棚の有無や板を敷いてあるかどうか、夏の点前か冬の点前か…。
大まかな流れは同じでも若干違うところがあり、いつまで経っても覚えられない。
あるいは、それが飽きずに続けられる理由でもあるかもしれない。
今回は、たぶん初めて取り組んだ「流し点(た)て」。
正式な茶事の前に、道具を置いてある水屋にあるもので
ささっとお茶を点てて出すというイメージのよう。
ふだんは点前する亭主が斜めを向いているように客からは見えるのが、
「流し点て」では、炉をはさんで客と正面で向き合うかたちとなる。
これにともない、茶器や蓋置、建水など道具を置く位置も変わる。
通常使う水指(みずさし)を用いず、水次(みずつぎ)やかんを使った。
いつもの点前より右斜めへ45度ほど移動して行う点前は、
見える景色が変わって新鮮。
と感じる余裕もないほど、道具を置くポジションがわからず
先生の指示どおりに手を動かすのに精一杯。
客と点前をする亭主との距離が近く、
親密な雰囲気で行われる点前だというお話だった。
一つひとつのお点前を覚えていられたらと思いながら、
時間が経つと忘れる。
よいのか悪いのか、また新たな気持ちで取り組む。その繰り返し。