なずなノート

お茶や暮らし、映画、日々の発見をぼつぼつと、ぶつぶつと

展覧会

中国書画を身近に感じられた企画展「住友コレクションの明清書画」

住友家が蒐集した美術品を保存、展示する美術館、 泉屋博古館(せんおくはくこかん)。 京都の丸太町通を東に進んだ山ふところの鹿ヶ谷にある。 以前、雑誌で見て気になっていた「安晩帖(あんばんじょう)」が 展示されるというので、はじめて訪れた。 「…

植草甚一が夢みた古書店「三歩屋」

世田谷文学館の「開館20周年 植草甚一スクラップ・ブック」展では、 展示の最後に古本屋「三歩屋(さんぽや)」が設けられている。 4万冊ほど蔵書をもつ植草甚一(J・J)が、下北沢あたりで 古本屋を営むのを夢想していたことにちなんで、つくられたのだそ…

散歩と読書の達人「開館20周年 植草甚一スクラップ・ブック」

なかなか真似はできないけれど、お手本にしたい存在。 それが植草甚一。ニックネームはJ・J氏。 明治41(1908)年、東京の日本橋に生まれ、東宝の社員を経て 映画や読書、ジャズ、散歩をこよなく愛し、コラムやエッセイを綴った自由人。 昭和54(1979)年に…

「茶の湯釜の文様」

「茶の湯釜の文様」大西清右衛門美術館の平成27年春季企画展 後期千家十職の釜師・大西家に伝わる茶の湯釜のうち、文様に着目した展覧会。茶会を開くことを「釜をかける」と表現したりもするように、釜は茶の湯の席で最初から最後までその場にある。茶釜があ…

「組むたのしみ」テーマとのつながりは、さまざま

藤田美術館の展覧会「組むたのしみ」では、 所蔵品をどのように組み合わせるかというおもしろさを 教えてもらった。 訪れた土曜日だったので、学芸員が20分ほど展示について 解説してくださったので、「なるほどー」と思えるところが 多くあった。その覚え書…

「組むたのしみ」春夏秋冬の道具組み

藤田美術館で開催の展覧会「組むたのしみ」。2000点以上の所蔵品から、春夏秋冬にあわせた茶道具を取り揃え、道具を選ぶ楽しみ、味わいを提案する。春はひな祭りから始まり、端午の節句。夏は涼しげな瀧の図や舟、魚がモチーフの道具。秋は月見にちなんだあ…

見て試して楽しむ展覧会「phono/graph -音・文字・グラフィック」

初めはスタイリッシュで緊張感あふれる空間といった印象。 それでも一歩踏み入れてみると、何とまあ。 日常と非日常の間(あわい)のような、おもしろくてちょっと不思議な 世界を惜しげもなく見せてくれる。 「音・文字・グラフィック」の関係性における研…

「國府ノート2015」アイデアの足跡

乗り物をモチーフにした作品を発表した 現代美術家・國府理(こくふおさむ)の回顧展。 「プロペラ自転車」の作品が展示されたほか、 遺されたノートやメモが展示された。 その数ノート20冊、約900ページにおよぶ。 膨大なボリュームのノートの内容すべては…

「千家歴代と樂歴代の茶道具ー利休のデザインと展開ー」

「千家歴代と樂歴代の茶道具ー利休のデザインと展開ー」 湯木美術館 千利休と長次郎が生み出し、樂家に400年以上受け継がれてきた茶碗。 千家と樂家それぞれの歴代の好みや作風に着目した展覧会。 とくに気になった作品数点をご紹介。 1.「三足蓋置」 今回…

「チューリヒ美術館展 印象派からシュルレアリスムまで」を神戸市立博物館で鑑賞

神戸市立博物館の「チューリヒ美術館展」を訪れた。 モネ、ピカソ、セザンヌ、マティス、ジャコメッティ……、 近代美術史に名を残した画家たちの作品74点が集まる、 オールスターキャストのような展覧会だった。 美術の教科書に出てくるような、有名な画家の…

藤田美術館「開館60周年特別展」

約30点の展示作品のうち国宝6点、重要文化財10点というオールスターキャストのような展覧会だった。藤田美術館は、明治に活躍した実業家 藤田傳三郎とその嗣子らが収集した東洋古美術品を春と秋の特別展で公開している。日本で最初期に作られたという蔵が展…

「家元に伝わる茶の湯の道具(二)表千家歴代ゆかりの棚と水指」

表千家北山会館で毎年秋に開かれる特別展。 今年のお題は「家元に伝わる茶の湯の道具(二)表千家歴代ゆかりの棚と水指」。 棚のしつらえによって点前が変わることはわかっても それぞれの棚をどう使ったらよいのかは恥ずかしながら、さっぱり。 茶の湯を学…

450年前に作られた茶釜の音にときめく「ニュイ・ノワール 夜咄」大西清右衛門美術館

織田信長に仕えたとされる釜師が450年ほど前に手がけた 茶釜の音を、いま聴ける不思議さよ。 「ニュイ・ブランシュ(白夜祭)KYOTO2014」の会場の一つ、 大西清右衛門美術館でのこと。 「ニュイ・ブランシュ(白夜祭)」は、パリで毎秋開かれる 一夜だけの…

「酒井抱一の短冊で1年を楽しむ」湯木美術館 平成26年夏季展

「酒井抱一の短冊で1年を楽しむ ー待合掛けと茶会の道具たちー」湯木美術館 平成26年夏季展 夏らしく軽やかで、さわやかな心地がする展示だった。酒井抱一(さかい ほういつ)の短冊を中心にした展覧会。今回は時間が限られていたので主に短冊を見学した。…

「海を渡ってきた茶道具」

平成26年春季特別展 「海を渡ってきた茶道具 ーー名物記・茶会記に現れた唐物・南蛮・高麗ーー」 室町時代から江戸時代初期に海外から渡来した茶道具のなかで、 中国からの「唐物(からもの)」、東南アジアからの「南蛮」、 朝鮮半島からの「高麗」を中心…

「千家伝来の茶の湯釜」

平成26年春季特別展 開館十五周年記念 「千家伝来の茶の湯釜」大西清右衛門美術館 2014年6月 千家十職(せんけじゅっしょく)の一つ、釜師である大西家の美術館開館十五周年記念展。 表千家、裏千家、武者小路千家と三千家から 選りすぐりの茶の湯釜が集めら…

平成25年秋季企画展 開館十五周年記念「初代浄林・二代浄清」大西清右衛門美術館

江戸時代の初めから三条釜座で工房を構える大西家は、 四百年にわたり、茶の湯釜を作り続けてきた伝統をもつ。 今回は大西清右衛門美術館の開館十五周年記念で、 初代 浄林(1590〜1663)とその弟で飛び抜けた名工ともいわれる 二代 浄清(1594〜1682)に焦…

1250年前の宝物を拝見「第65回 正倉院展」奈良国立博物館

奈良国立博物館の「第65回 正倉院展」へ。 雨にも負けず、大混雑にもめげずに正倉院展を訪れるのは、 奈良時代のロマンあふれる品々に会いたいからだ。 東大寺近くに、奈良時代中ごろ(8世紀)に建てられた宝庫「正倉院」がある。 聖武天皇遺愛の品をはじめ…

モースと茶のつながり「明治のこころ モースが見た庶民のくらし」江戸東京博物館 その3

「お茶、お茶、お茶と朝昼晩及びその他あらゆる場合、お茶ばかりである。行く先で必ずお茶が出されるのは、日本において気持ちのいい特徴の一つである」そんなモースの言葉が残されている。彼はまた、日本人と茶のつながりに惹かれたようだ。茶畑を訪れ、茶…

「明治のこころ モースが見た庶民のくらし」江戸東京博物館 開館20周年記念特別展 その1

江戸東京博物館の「明治のこころ モースが見た庶民のくらし」展、 なんとなく訪れたところ期待以上におもしろい内容だったので、おぼえ書き。 モースが見て愛した、130年ほど前の日本と日本人の暮らしが ギュッとつまった日用品320点が展示されている。 エド…

四国村で展示されていた、年代物の実用自転車

四国各県から移された民家を保存展示している、四国村。山道を歩き、林を抜けた先にある「醤油蔵・麹室」の入口で、かっこいい自転車を見つけた。自転車本体にリヤカーを合体させたような、といったらよいのか。無駄のない実用をきわめたデザインと、革のサ…

青春18きっぷで四国村へ

2013年夏の青春18きっぷの日帰り旅の行き先は、香川県高松市の四国村とした。 目的は、企画展「無何有郷(むかゆうきょう/むかうのさと)」を見学すること。 「四国村」は、正式名称を「四国民家博物館」という。 屋島山麓の地形を生かした50,000㎡の敷地に…

Year of tapestries 「みほとけのかたち ー 仏像に会う ー」奈良国立博物館

今年は、「タペストリーの一年」なのだそう。 国立国際美術館に「一角獣」が来るし、 奈良国立博物館(以下、奈良博)では、今年「當麻寺」展で国宝「綴織當麻曼荼羅」が展示されたのに続き、 今回の「みほとけのかたち」展で国宝の「天寿国繡帳(てんじゅこ…

湯木美術館平成25年夏季展「吉兆庵湯木貞一の茶事 涼の茶道具と朝茶」

湯木美術館で開催中の「吉兆庵湯木貞一の茶事 涼の茶道具と朝茶」展、 後半の二期へ。 昭和30年7月28日に大阪の高麗橋吉兆で催した、 朝茶の茶会記をもとに、道具組が再現されている。 「朝茶」とは、夏ならではの茶事。 まだ暑さがマシな早朝から始め、日…

「森と湖の国 フィンランド・デザイン」大阪市立東洋陶磁美術館でカイ・フランク作品に夢中

東洋陶磁美術館にはめずらしく、ガラスをメインにした展覧会。 第二次世界大戦後に大きな発展を遂げた、フィンランド・デザインの ガラスと陶磁器約150点を展示、 フィンランド国立ガラス美術館の所蔵品を中心に構成されていた。 フィンランド・デザインでま…

「國府理 未来のいえ」展 西宮市大谷記念美術館ーー空想と機能のあいだ

「画家が絵を描くように、文筆家が文章を書くように、 実際に走ることによって、はじめて作品として完成する」と、 作家の國府理はいう。 國府理は、自動車、自転車などの乗り物をモチーフとして、 大型の立体作品を発表しているアーティスト。 この展覧会で…

「BLUE & WHITE 藍と白の美 そばちょこ・藍染めを中心に」大阪日本民芸館2013年春季特別展

そばちょこをメインに、藍と白の作品を集めた展覧会。 タイトルの「BLUE & WHITE 」とは、白地に呉須(ごす)で模様を描いた染付(そめつけ)を指す言葉だ。 今回セレクトされたそばちょこは、ほとんどが古伊万里と呼ばれる江戸時代の伊万里焼。 佐賀県の有…

人波をかき分けて「ボストン美術館 日本美術の至宝」大阪市立美術館へ

“東洋美術の殿堂”と称される、アメリカのボストン美術館。海外にある日本美術コレクションでは、世界に類を見ないボリュームとクオリティを誇り、今展では、仏像や仏画、絵巻や近世絵画70点を展示。 会期終了を前に大混雑の会場で、それでもしっかり見るこ…

「茶の湯の漆器―利休と不昧のデザイン―」湯木美術館平成25年春季特別展

湯木美術館の「茶の湯の漆器ー利休と不昧(ふまい)のデザイン」を訪れた。 この展覧会では、茶の湯で使用される漆芸品を中心に展示。 茶の湯の漆器は、千利休などの茶人や大名たちが 自ら「好んだ=デザインした」塗物の茶道具の登場により、16世紀に大きく…

京都グラフィー開催中に訪れた「大西家の近代ーー浄長・浄中・浄心」展

大西清右衛門美術館の「大西家の近代ーー浄長・浄中・浄心」を訪れたのは、 ゴールデンウイークの5月5日のこと。 ずいぶん前だけど、いちおう覚え書きメモ。 この日は、京都の街で行われた写真のイベント 「京都グラフィー」期間中で、同美術館も会場の一…