なずなノート

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「森と湖の国 フィンランド・デザイン」大阪市立東洋陶磁美術館でカイ・フランク作品に夢中

 

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 東洋陶磁美術館にはめずらしく、ガラスをメインにした展覧会。

第二次世界大戦後に大きな発展を遂げた、フィンランド・デザインの

ガラスと陶磁器約150点を展示、

フィンランド国立ガラス美術館の所蔵品を中心に構成されていた。

 

 フィンランド・デザインでまず思い浮かぶのは、

カイ・フランク(1911ー1989)。

フィンランドの良心」とも呼ばれる、デザイナーだ。

 

ぼーっと会場を見て回っていても、目にとまるのは

カイ・フランクの作品だった。

ヨーロッパブナのオブジェも、デカンタも、グリーンの濃淡の花瓶も。

一般市民の生活に潤いをもたらす、シンプルだがデザイン性の高い生活用品」

発表しつづけた彼の作品は、

 自然の造形を取り入れつつ、作為性を感じさせないからか、

すーっとこちらに入ってくる気がする。

 

そんなカイ・フランクの姿勢が見てとれるのが、

「TOIVE(1954年、フィンランド語で『希望』)」と名付けられた

タンブラーのセット。

「紙製パッケージに入れられて、プレゼント用に考案された。

戦後の苦難の時期に、人々の暮らしに希望を与えた。

 

 きわめてシンプルなデザインと色彩のグラデーション、

ふだん使いの耐久性をそなえたグラス」。

 

 そんな説明からも、彼の人柄がしのばれる。

日本でとくに人気の高いコレクターアイテムで、タンブラー1個が数万円!

もするから、到底買えそうもないけれど。あこがれの品。

 

 「TOIVE」は1955年にニューヨーク近代美術館に所蔵、

イタリアの名誉あるデザイン賞、コンパッソ・ドーロも受賞した。

 

下の画像は、兵庫県立美術館で今年初めに開催された、

フィンランドのくらしとデザイン ムーミンが住む森の生活」屋外パネル。

 「TOIVE」の箱付き。

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 また、「レースガラス・ボウルKF279」(1962年)は、

ほんとうに美しい作品だった。

2点展示されていて、グリーンの丸筒型のボウルに

ななめにいくつもの色で線が描かれている。

 

一つは、グリーン系で使われているのはグリーン、ブルー、イエロー、赤など。

もう一つは、赤系で、赤、黄、茶、ブルー、オレンジなど。

ずーっと見ていたくなった。

 

 彼の経歴が紹介されていたので、おぼえがき。

フィンランドヘルシンキ美術効果大学で家具デザインを学び、

1938年にテキスタイルデザイナーに。

1945年にはアラビア社のデザイナーとなり、

1950年に同社のアートディレクターに就任。

1948年に後のテーマシリーズとして現在も販売をつづける

「キルタ」シリーズを発表、1950年からはヌータヤルヴィ社で

ガラスデザインに携わる。

 

(太字は、展示の説明を参考にした)