植草甚一が夢みた古書店「三歩屋」
世田谷文学館の「開館20周年 植草甚一スクラップ・ブック」展では、
展示の最後に古本屋「三歩屋(さんぽや)」が設けられている。
4万冊ほど蔵書をもつ植草甚一(J・J)が、下北沢あたりで
古本屋を営むのを夢想していたことにちなんで、つくられたのだそう。
店名の「三歩屋」を記したメモも展示室に展示されていた。
J・J氏おすすめの古書が並び、手にとって読むこともでき、
ジャズが流れる空間は、時間が許せば長く居座りたかった。
新入荷本リストは持ち帰ることができ、復習用に一部いただいた。
古本および古本屋を愛したJ・J氏の心持ちをあらわした文章が
展示室に掲げられていた。
「二冊か三冊じゃ本を買った気がしない。
たまに神保町で洋書と雑誌を四十冊ばかり買って帰り、
九時ごろからあっちこっちパラパラやりながら、いちおう目をとおすと
夜中の二時ごろになる。そんな時がいちばん楽しい」
なるほど。
本の世界に夢中になっていると、あっという間に時間が経ってしまうんだろう。
展示を見て、古本屋「三歩屋」にも立ち寄ると
何か買いたくなる。買わずには帰れないような気になった。
ミュージアムショップで一冊だけ購入した。
J・J氏もきっと喜びそうな、粋な企画だった。
三歩屋エリアは撮影OKだったので撮影した。