見て試して楽しむ展覧会「phono/graph -音・文字・グラフィック」
初めはスタイリッシュで緊張感あふれる空間といった印象。
それでも一歩踏み入れてみると、何とまあ。
日常と非日常の間(あわい)のような、おもしろくてちょっと不思議な
世界を惜しげもなく見せてくれる。
「音・文字・グラフィック」の関係性における研究と、
それを取り巻く現在の状況とを検証しながら形にすることを目的とした
アート/デザインプロジェクト「phono/graph」の展覧会。
グラフィックデザイナーや音響作品を発表するアーティストといった、
さまざまな経歴をもつメンバーが、約半年間にわたり
神戸アートビレッジセンターのシルクスクリーン工房で取り組んできた
実験の数々を展示。
「マンガと音」「タイポグラフィと音」、「詩・小説と音」といったテーマから
文字と音についてまとめた本や、意外な素材を用いたレコード……、
ほとんどの作品は見るだけでなく、実際に手に取ることができる。
ぱっと見るとどう鑑賞したらよいのかわからない作品たちも、
実際に手に取り、少しヒントを教えてもらうと夢中で遊びたくなってくる。
シルクスクリーンで印刷した紙の、インクの微細な厚みが溝となったレコードや、
木のレコード、ほかにもいろいろ。次々レコードプレーヤーにのせて
音を確かめてみる。
たとえば、こんな作品もあった。
カラフルできれいな、レコードの破片。
好きなように集めてドーナツ形にし、枠をはめてレコードプレーヤーで音を出してみる。
すると、この組み合わせでしか出ない音が出る、というかんじなのかな。
一期一会の音。ふしぎなノイズ。見た目にも惹かれた。
城一裕の作品「Gragmented Music」。
地下には一面に紙片がうずたかく積もった空間があった。
何でもこの紙片はすべて、すぐそばにあるボートピアの舟券なのだそう。
床に敷き詰めた上を、自由に歩く、藤本由紀夫の「BROOM」という作品。
日常にあるものや感覚に近く、でも少し異なる世界への
扉が開かれているようなスタンスが心地よく、
おもしろさを見つける発見もあり、
時間が経つのも忘れて、それぞれの作品で遊ばせてもらった。
2015年4月、神戸アートビレッジセンターで鑑賞。
撮影可の展覧会だったので画像つきで紹介する。