京都グラフィー開催中に訪れた「大西家の近代ーー浄長・浄中・浄心」展
大西清右衛門美術館の「大西家の近代ーー浄長・浄中・浄心」を訪れたのは、
ゴールデンウイークの5月5日のこと。
ずいぶん前だけど、いちおう覚え書きメモ。
この日は、京都の街で行われた写真のイベント
「京都グラフィー」期間中で、同美術館も会場の一つだった。
ふだんは開放しない茶室などで、
十六代の当主が撮影した火や熱、鉄をとらえた作品が展示されていた。
網にのせた溶ける前の一瞬をとらえた写真とともに
展示されていた釜「門口(かどくち)釜」を見て、びっくり。
すごく頑丈な持ち手に、小ぶりの胴がついている。
美術館スタッフの方が、そのいわれを教えてくださった。
なんでも、ごつい持ち手(鐶付・かんつき)は、
400年ほど前に伏見城の門の扉で使われていた、
蝶番(ちょうつがい)だったという。
蓋も昔の鉄を用いて、つまみは古い釘。
釜の本体である胴は、当代が手がけたもの。
400年前の鉄と、現在の鉄が融合した釜、というわけだ。
自由な発想に驚く。
釜の正面には現在、この釜を所有する京都市・伏見区の「栄春寺」の名が
刻まれていた。
こちらの新聞記事で写真付きで紹介されている。
「大西家の近代ーー浄長・浄中・浄心」展で特に気になったのは、
十三代浄長作「雪花釜」。雪の模様が施されている。
展示の説明文には、こんなことが書いてあった。
「茶の湯の空間に大衆が集う場となり、
茶の湯釜も鑑賞されるものとしての意識が高まった」と。
どっしりした釜に雪模様があしらわれた
そのバランスがおもしろいと思った。