なずなノート

お茶や暮らし、映画、日々の発見をぼつぼつと、ぶつぶつと

重要文化財•旧小西家住宅でのお茶会

 「重要文化財でお茶会」というキーワードに惹かれて、5月17日の催しに参加してみた。

会場は、大阪•北浜近くの旧小西家住宅。

大阪最古の堀川・東横堀川の水辺とまちを楽しむ

「 e-よこ逍遙」 というイベントの一環として行われたものだ。

 

  この建物は、ボンドで有名な「コニシ株式会社」の旧社屋。

明治33年(1900)に着工、表の店舗と奥の居室からなる、

明治期の薬問屋の店構えを残す主屋や、

黒漆黒塗りの衣裳蔵などの建物が、

国の重要文化財に指定されている。

通常は非公開の建物に堂々と入れるのだから、ありがたい。

 

外観は、こちら。

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 この日は、お茶とお菓子の呈茶に加え、

現当主の小西社長による邸内の案内も行われた。

当主から撮影許可をいただいたので、邸内の様子を少しご紹介。

 

 主屋の出入り口は、格子戸。

 

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  こちらは、台所•炊事場。

大阪で「へっついさん」と呼ばれる大きなカマドが置かれている。

社屋はまた生活の場でもあった。

主屋は主人とその家族が暮らし、

従業員たちは店の2階で寝起きしたそう。

 

小西家住宅が建てられた当時は、この「へっついさん」がフル回転し、

50人分以上の食事を用意したという。

 

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その天井が、こちら。

カマドから立ち上がる湯気や煙がこもらないよう、吹き抜けになっている。

天井に使われているのは、トチの木だと教えてもらった。

梁(はり)は、木そのものの曲線が生かされていることがわかる。

 

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白い壁に映った、優雅な影を発見!

ご一緒したT先生が「蝶みたい」と

お話されていたのを聞いて、なるほどと納得。

私はといえば「レンコンみたい」と思っていた。

こんなところでお里が知れるのだろう。

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シルエットの正体は、建物の何という部分なんだろう? ひさしでもないし。。

とにかく、「日本で最初の水洗手洗いの一つ」に面したところにあった。

 

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最後にお茶について。

広間で、お茶とお菓子がふるまわれた。

水屋で用意されたお茶をいただく「たて出し」だったので、

お点前の様子は見られなかったのが、ちょっと残念。

 

お菓子は、ご近所の「菊寿堂義信」製。

お菓子の名前は聞きそびれた。

この日の掛け軸は、岩陰で鮎が泳ぐ涼しげな日本画で、

箱書きに「香魚」とあった。

 

香魚とは鮎の別名なので、

 お菓子も水面の鮎を表しているのだろう。

銀皿に映えてきれい。 

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広間に面して中庭があり、大きなモチの木を眺めながら、

ちょっとの間ぼんやりと。

 

車通りも人通りも多い堺筋沿いにある建物なのに、

喧騒を全く感じることなく、とっても静か。

 

ご当主のお話を聞いて、蔵やお庭を見せていただくと、

距離も時間軸もずいぶんと旅したような心地に。

 

建物を一歩出ると、いつもの街並みに戻り、なんだか夢から覚めたみたいな気がした。

不思議だなあ。

 

 建物については、当日のお話と、

冊子「大阪船場の生き証人 重要文化財 旧小西家住宅へようこそ」を

参考にした。