なずなノート

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「茶の湯釜の文様」

茶の湯釜の文様」大西清右衛門美術館の平成27年春季企画展 後期

千家十職の釜師・大西家に伝わる茶の湯釜のうち、
文様に着目した展覧会。

茶会を開くことを「釜をかける」と表現したりもするように、
釜は茶の湯の席で最初から最後までその場にある。
茶釜がある空間に茶入や茶碗、水指といった
茶道具を運ぶ。
でーんと構えている存在というのか。

茶釜の文様は、絵画のように描かれるものもあれば、
デザイン的におもしろい文様もある。
季節の風物や、おめでたい吉祥文様もあり、作り手の意図か、
あるいは依頼主の希望かその両方か、さまざまな思いが込められていることがわかる。

 初代大西浄林(1590〜1663)作の「鮎地文撫肩釜(あゆじもんなでがたがま)」は、
肌に水中を泳ぐ鮎を配し、輪っか形の鐶(かん)を引っかけるための鐶付(かんつき)にも
上向きの鮎が泳ぐ趣向。

六代大西浄元(じょうげん)作の「亀甲釜(きっこうがま)」は、
デザインが目を引く釜であった。

全体に亀甲文様を割り付けてあり、鐶付はそれにちなんで亀。
亀は万年の寿命をもつとされる長寿の象徴。

亀甲文様は口に近いところは小さく、底に近づくにつれ徐々に大きくなる
リズミカルな意匠。

焼き抜きという技法により赤茶色になった唐銅(からかね)蓋との組み合わせが、
いま見てもおしゃれ。

かたい鉄で作られているはずなのに、その質感は
すべすべしているタイプやゴツゴツいかつそうなものなどいろいろ。
質感を触って手で確かめたくなった。