年に一度の「旅箪笥」
今年もやって来た。「旅箪笥(たびだんす)」のお稽古の季節である。
千利休が創案したという桐の木地の小さな箪笥で、
中に二段の棚があり、前戸を金具で施錠するしかけになっている。
旅箪笥を用いたお稽古は何通りかあり、
今回は茶入(ちゃいれ)をのせる棚板を外して
床に置き、茶入や茶碗をのせるという点前を選んだ。
「旅箪笥」は豊臣秀吉の小田原の陣に利休が参じたとき、
屋外で芝などのうえで茶を点じたのが起こりとされる点前。
通っている教室では毎年4月だけ行われる。
天井から鎖をつるし、茶釜をかける「釣り釜」は、もとは木の枝にでもぶら下げていたとされる。
屋外でされていたであろう点前を、屋内で再現しているわけだけど、
山の稜線を描いた風炉先屏風が使われていて、
野点をイメージさせる趣向だった。
冬の点前である「炉」の稽古もおぼつかないうちに、
来月からは夏の「風炉」の点前が始まってしまう。
以前習ったことは飛んでしまっているので、
またまっさらな心持ちで始められるのだろう。
昨年の旅箪笥の記事はこちら