なずなノート

お茶や暮らし、映画、日々の発見をぼつぼつと、ぶつぶつと

2015-01-01から1年間の記事一覧

原節子主演作品『お嬢さん乾杯』

60年以上も前に作られた映画を今も見られて、しかも笑い声で盛り上がる場内に立ち会えるのは、なかなか貴重な機会であった。シネ・ヌーヴォの「銀幕デビューから八十年女優 原節子のすべて」特集で上映された戦後の風刺コメディの傑作『お嬢さん乾杯』。原…

お茶を呼ぶお菓子

とある地方の銘菓を仕事場でいただいた。 茶の湯にゆかりのある地で明治時代に考案されたというお菓子は、 一口食べると、「あ、甘すぎる……」。 甘さ控えめが普通となっている今では考えにくいほど、 砂糖をふんだんに使ってある。 茶席ではなくオフィスであ…

原節子の最古の作品『魂を投げろ』

現存するなかで、原節子が出演した最古の映画が参考上映されるというので 観に行ってみた。1935(昭和10)年公開の『魂を投げろ』。 このとき原節子、15歳!! セーラー服姿の原節子はもちろんかわいいけれど、凛として美しい。 旧制中学の予選を描いた青春映…

年に一度の「旅箪笥」

今年もやって来た。「旅箪笥(たびだんす)」のお稽古の季節である。 千利休が創案したという桐の木地の小さな箪笥で、 中に二段の棚があり、前戸を金具で施錠するしかけになっている。 旅箪笥を用いたお稽古は何通りかあり、 今回は茶入(ちゃいれ)をのせ…

映画『唐山大地震』 32年間の家族ドラマ

本が手放せないという、ものすごく読書家の方に聞いたことがある。 「小説というフィクションのかたちになって初めて、 歴史的な事柄を理解できるようになる」のだと。 ただ事実を並べるだけでは入ってこない。 優れた作り手が練った世界に入ってこそ、その…

雨後

明け方まで続いた春の長雨が止み、久しぶりに晴れの天気予報となったきょう。 自転車で靱(うつぼ)公園まで出かけて、 外でお弁当を食べる「ソラメシ」のランチタイムとした。 バラ園に着く。開花はもう少し先で残念、という気になりかけたのもつかのま、 …

穀雨のころ

きょうは二十四節気の「穀雨(こくう)」。 田畑をうるおし、五穀への恵みとなる雨が降るころ。 気にとめていると、穀雨のあたりはほぼ毎年、雨が降るみたい。 きょうも細かな春雨が降り、霧がかかったようになっていた。 新緑のみどりが日ごとに深くなり、…

サボテンの花が見頃

サボテンの花も春に見頃を迎えるなんて知らなかった。 「咲くやこの花館」という植物園を訪れると、 ちょうど園内のガイドツアーが行われていたので参加した。 記憶があやふやなところもあるが、教えていただいたことを覚え書き。 南北アメリカの乾燥地に生…

多国籍な乗り合いバス

出張で京都に宿を取ろうとしたところ、ものすごく取りにくかったという話を聞いた。 どこも満室で、しかもハイシーズンの価格設定で高い! とのこと。 その方は手を尽くして宿を見つけたんだけど、ほんとに大変だったという。 桜はほぼ散ってはいるものの、4…

菜種梅雨のころ

人に会ってもメールでのやり取りでも、ここのところ「きょうも雨ですね」が、あいさつになっている。菜の花が咲くころに続く長雨を「菜種梅雨」というそうで、いまがそんな時期なんだろうか。ゆっくり花見もしていないのに桜が散ってしまった、なんて話した…

古くて新しいもの

phonograph フォノグラフとは蓄音機、とくにエジソンが開発した 初期の蝋(ろう)管式のものをさすのだという。 先日訪れた「phono/graph」展で見せてもらったものに、蝋管がある。 くわしいことはまだよくわからないけれど、教えていただいたところによる…

見て試して楽しむ展覧会「phono/graph -音・文字・グラフィック」

初めはスタイリッシュで緊張感あふれる空間といった印象。 それでも一歩踏み入れてみると、何とまあ。 日常と非日常の間(あわい)のような、おもしろくてちょっと不思議な 世界を惜しげもなく見せてくれる。 「音・文字・グラフィック」の関係性における研…

パンケーキのお茶会

遅まきながら先日、パンケーキ専門店に出かけた。 立ち飲みや居酒屋が並ぶ一角にひかれながらも通り抜け、 お目当ての店に入る。 イチゴが出回る時期でもあり、パンケーキの生地が見えないほど ぎっしりイチゴがのったタイプや、クリームが渦巻いたものなど…

そばの効力

そばのおいしさが分かるようになってきた。 みずみずしい新そばといわれるものを口に含むとほんのり甘く、 まずはそばだけで一口。 続いて、だしの効いた濃いつゆに少しつけて食べる。 口じゅうにそばの淡い香りと味が広がって、うんまーい。 最後にそば湯を…

清明のころ

4月5日は二十四節気の「清明(せいめい)」だった。 春の日差しのなか、天地がすがすがしく明るい空気に満ちるころ。 ほぼ毎年、お花見シーズンと重なり、何だか気もそぞろに出かけたくなる 時期でもある。 一方でこのところ雨が降ることが多い。 菜の花が咲…

季節に沿って生きる映画『リトル・フォレスト冬・春』

「冬が終わってまずすることは、次の冬の食料を作ること」。 夏に収穫したじゃがいもを翌春まで保存しながら食べ、春になったら真っ先に、 次のじゃがいもの植え付けに向けて準備するのだという。 一年に春夏秋冬という四季があって、冬には冬を、 春には春…

花の雨

今年の桜はつぼみが膨らむのを観察する間もなく、ある日、気がついたら開花していたという印象だった。きのう最高に満開だった桜が、今日の雨でずいぶん散ってしまった。咲く姿が美しいのはもちろん、「零れ桜(こぼれざくら)」や「花吹雪」「花いかだ」「…

秘密のお花見

レンタサイクルを借りられなかったので歩いていたら、戸が開いているお寺のようなお家のような門構えがあり、奥に菜の花と桜がちらっと見えた。ちょっと入ってみようという友人について細い露地を進む。すると桜が満開だった。ところどころにイスやベンチが…

『忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー The FILM 〜♯1入門編〜』へよォーこそ!

残念ながら生でライブを体験したことのないけれど、 こうして映像で追体験できるのも悪くない気がした。 映画『忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー The FILM 〜♯1入門編〜』。 「KING OF ROCK」と称された忌野清志郎の1980年代から2000年代のライブ映像を…

卒業のころ

年度末で一つ卒業を迎えた。 思いがけず花束をいただいた。 望む望まないによらず、状況はつねに変わっていく。 きょう午餐をともにした人々と、 同じようにテーブルを囲むことはもうないだろう。 「一期一会」という言葉は、茶の湯の会は一生に一度のもの…

お茶のお稽古も新学期

お茶の先生と話しているときに、先生もまたお茶を習っているのだと教えてもらった。 月に一回、宗匠の会で研鑽を積んでいるのだそう。 教える側ではなく、自分で点前すると見えてくること、 学ぶことが大いにあるのだとも。 「お茶とはこういうもの」と定義…

「國府ノート2015」アイデアの足跡

乗り物をモチーフにした作品を発表した 現代美術家・國府理(こくふおさむ)の回顧展。 「プロペラ自転車」の作品が展示されたほか、 遺されたノートやメモが展示された。 その数ノート20冊、約900ページにおよぶ。 膨大なボリュームのノートの内容すべては…

少し先のお楽しみ

きょうは行きたいライブいくつかの発売日だった。 いつ以来かわからないくらい久しぶりに、プレイガイドに発売日当日に買いに行ってみた。 いつでも行ける、また次がある。 そう思っていたら、最後の機会を逃してしまったことも数回あるし。 午前10時過ぎに…

「千家歴代と樂歴代の茶道具ー利休のデザインと展開ー」

「千家歴代と樂歴代の茶道具ー利休のデザインと展開ー」 湯木美術館 千利休と長次郎が生み出し、樂家に400年以上受け継がれてきた茶碗。 千家と樂家それぞれの歴代の好みや作風に着目した展覧会。 とくに気になった作品数点をご紹介。 1.「三足蓋置」 今回…

茎茶

ある中華食堂で飲むお茶が好きで気になったので、何のお茶か聞いてみた。 すると烏龍茶の茎茶(くきちゃ)だと教えてくれた。 飲みやすいため選んでいるのだそう。 確かに、ペットボトルの烏龍茶のような渋みはない。 ごくごく飲めるので、いつも2〜3杯おか…

はじめてのクラシック

クラシックのコンサートに行く機会があった。 「ソナタって何?」というくらいの、まったくの初心者である。 辞書で調べると、ソナタは「独奏曲または室内楽曲の形式の一つ」とあった。 コンサートはピアノとヴァイオリン、二人だけの室内楽であった。 それ…

薄氷

寒さがぶり返し、雪の知らせもあった今日。早朝には氷が張ったところもあるかもしれない。 春に寒気が戻って薄く張った氷を「薄氷」というのだそう。 うすらい、うすごおり、と読むと季語集に教わった。 京都の鴨川沿いで枝垂れ柳を見つけた。 若い葉が強い…

2年ぶりにチャリティー茶会へ

朝日新聞チャリティーの「第六十一回 各流合同茶会」を訪れた。 煎茶および茶の湯の9流派が集まる大規模な茶会。 客は一席券または二席券を購入し、好きな流派のお茶とお菓子をいただける趣向で、 収益金が服しのために役立てられるのだそう。 会場は大阪美…

試験会場の風景

とある試験会場に入る機会があった。試験が始まる前に説明があって、その中でこんな話があった。「腕時計の中にはメール機能などをもつものが見受けられますので、腕から外し、机の上に置いてください」と。もうすぐ発売されるあのウォッチなどのことかな。…

菜の花のころ

一面に広がる菜の花畑を「おいしそう!」と家族全員で眺めたという、知り合いの話が好きだ。露地で咲いているのはまだお目にかかれていないけど、今年も食べられるほうの菜の花は店頭に並んでいる。「菜の花や月は東に日は西に」という与謝蕪村の名句は、京…