秘密のお花見
レンタサイクルを借りられなかったので歩いていたら、
戸が開いているお寺のようなお家のような門構えがあり、
奥に菜の花と桜がちらっと見えた。
ちょっと入ってみようという友人について細い露地を進む。
すると桜が満開だった。
ところどころにイスやベンチが置いてあり、座布団もある。
憩っている人がちらほら。
日に当たってふかふかした座布団に座る。
満開の桜を眺めて鳥の鳴き声を聞き、なんとも長閑(のどか)。
結構、人の行き来がある。
みな「こんにちは」と声をかけ合い、
3匹ほどいる猫は日向ぼっこしている。
話しかけてくれる人があり、会話していると、その相手はここにお住まいの方だった。
ふだんは公開していないんだけど、桜が咲く時期だけ扉を開け、
桜を自由に見てもらっているのだと教えてくれた。
「いちばん桜がきれいに見えるところに長椅子を置いているから」と、
案内までしてくださる。
いま細い枝先まで満開に咲いている桜は、
ご当主のおじいさん、おばあさんの記念樹として植えたものであるのだという。
何だかわからないまま入ってきたという人はほかにもあり、
たまたま扉が開いている日に来られてラッキー、などと話していた。
いつまでも眺めていたい美しさ。
虫が蜜をもとめて花に接近するように、、
みな桜に誘われて集まるのだなあ。
思い出ぶかい、秘密のお花見となった。