なずなノート

お茶や暮らし、映画、日々の発見をぼつぼつと、ぶつぶつと

季節のこと

青葉雨のころ

ビルのガラス越しに見える川沿いの木々がいっそう緑濃く映えた今日。青々とした葉に降りかかる雨を「青葉雨(あおばあめ)」と表現すると季語集に見つけた。市場では、そら豆やえんどう豆が出揃い、ひときわ緑鮮やか。新玉ねぎは宮崎や長崎といった九州産が…

新茶を一杯

今年初めての新茶は、歩き疲れた身に、すーっと染みた。老舗のお茶屋さんで展開しているテイクアウトのお茶を初めて買ってみた。緑茶、ほうじ茶に加えて宇治の新茶もあったので、新茶を選んだ。注文が入ってからお茶を淹れてくれるのが当たり前のことながら…

ツバメ来るころ

選挙活動がヒートアップする大阪市を逃げ出すように 京都へ向かうと、今日は最高気温30.5℃を記録する真夏日だった。 三条大橋を渡りきって、動くものがあって何となく見上げると、ツバメだった。 軒にはツバメの巣。今年もツバメが来る季節がやって来た。 1…

風炉の季節が到来

5月になって茶の湯では「風炉(ふろ)」のお点前が始まった。 秋冬のしつらえ「炉」から、「風炉」へ。 畳をくり抜いた囲炉裏のようなところに茶釜を置く 「炉」は、客から見て火が近くに感じられる。 一方で「風炉」は、畳の上に炉と茶釜を置き、 客から火…

立夏のころ

二十四節気の「立夏」が過ぎ、暦の上では夏がやって来た。 春分と夏至のちょうど真ん中あたり。 数日前は八十八夜でもあり、春の新茶が出回るころ。 薫風に誘われ公園を訪れてみると、 早くもバラが見頃を迎えていた。 先月通りがかったときは、全然咲いてい…

年に一度の「旅箪笥」

今年もやって来た。「旅箪笥(たびだんす)」のお稽古の季節である。 千利休が創案したという桐の木地の小さな箪笥で、 中に二段の棚があり、前戸を金具で施錠するしかけになっている。 旅箪笥を用いたお稽古は何通りかあり、 今回は茶入(ちゃいれ)をのせ…

雨後

明け方まで続いた春の長雨が止み、久しぶりに晴れの天気予報となったきょう。 自転車で靱(うつぼ)公園まで出かけて、 外でお弁当を食べる「ソラメシ」のランチタイムとした。 バラ園に着く。開花はもう少し先で残念、という気になりかけたのもつかのま、 …

穀雨のころ

きょうは二十四節気の「穀雨(こくう)」。 田畑をうるおし、五穀への恵みとなる雨が降るころ。 気にとめていると、穀雨のあたりはほぼ毎年、雨が降るみたい。 きょうも細かな春雨が降り、霧がかかったようになっていた。 新緑のみどりが日ごとに深くなり、…

サボテンの花が見頃

サボテンの花も春に見頃を迎えるなんて知らなかった。 「咲くやこの花館」という植物園を訪れると、 ちょうど園内のガイドツアーが行われていたので参加した。 記憶があやふやなところもあるが、教えていただいたことを覚え書き。 南北アメリカの乾燥地に生…

清明のころ

4月5日は二十四節気の「清明(せいめい)」だった。 春の日差しのなか、天地がすがすがしく明るい空気に満ちるころ。 ほぼ毎年、お花見シーズンと重なり、何だか気もそぞろに出かけたくなる 時期でもある。 一方でこのところ雨が降ることが多い。 菜の花が咲…

秘密のお花見

レンタサイクルを借りられなかったので歩いていたら、戸が開いているお寺のようなお家のような門構えがあり、奥に菜の花と桜がちらっと見えた。ちょっと入ってみようという友人について細い露地を進む。すると桜が満開だった。ところどころにイスやベンチが…

卒業のころ

年度末で一つ卒業を迎えた。 思いがけず花束をいただいた。 望む望まないによらず、状況はつねに変わっていく。 きょう午餐をともにした人々と、 同じようにテーブルを囲むことはもうないだろう。 「一期一会」という言葉は、茶の湯の会は一生に一度のもの…

薄氷

寒さがぶり返し、雪の知らせもあった今日。早朝には氷が張ったところもあるかもしれない。 春に寒気が戻って薄く張った氷を「薄氷」というのだそう。 うすらい、うすごおり、と読むと季語集に教わった。 京都の鴨川沿いで枝垂れ柳を見つけた。 若い葉が強い…

菜の花のころ

一面に広がる菜の花畑を「おいしそう!」と家族全員で眺めたという、知り合いの話が好きだ。露地で咲いているのはまだお目にかかれていないけど、今年も食べられるほうの菜の花は店頭に並んでいる。「菜の花や月は東に日は西に」という与謝蕪村の名句は、京…

人も這い出てくるころ

昨日は夜になっても上着がいらないくらい暖かかった。 冬ごもりの虫が地中から這い出てくるとされる節気「啓蟄(けいちつ)」を過ぎ、 人もわんさか外に出てきているように感じた。 自転車でしばらく走っていると、 駅前や居酒屋の前には、ちょっとした人だ…

大阪城梅林で梅見

大阪城公園の梅林へ、梅見に出かけた。 偶然ボランティアガイドの方が解説してくださったので、一部をご紹介。 「華農玉蝶(かのうぎょくちょう)」。 こちらの梅林を代表する品種の一つ。 花の中にもう一つ花が入っているように見える めずらしいもの。内…

春の香り

急に日が長くなったと感じる春の日を「永日(えいじつ)」と表現すると、季語集に書いてあった。そんな日に、西に向けて自転車を走らせ、刻々と変わる夕焼けを眺めるのは飽きなかった。車道脇を走っているので目には入ってこないものの、何か所かでよい香り…

芽吹きのころ

春になってからなお残る寒さを「春寒(はるさむ)」という。 そう季語集に教えてもらった。 きょうの天気はまさにそれにあたる。 寒くて風が強くて自転車に乗るのをあきらめた。 道を行くと、ケヤキが根に近いあたりからぐらぐらと しなうのが見てとれた。…

啓蟄のころ

昨日の宵、東の空にのぼりはじめたのは 大きなおぼろ月だった。 おぼろ月の季語は春。 暦の上では春になってひと月ほど経った。 きょうは二十四節気の「啓蟄(けいちつ)」。 春の気配に誘われて、地中で冬眠している虫や蛙、ヘビたちが 這い出してくるころ…

花粉に沈む

梅の花をはじめ、水仙や沈丁花(ジンチョウゲ)と次々に香りのよい花が咲き始めるころ。香りを楽しむ気持ちがへこんでしまいそうになるのは、きっと花粉のせい。朝のニュースで、遠くがかすむほど花粉の飛散量が多いと伝えていたけれど、きょうはひどかった…

苔の居場所

きょう雨が降る前に散歩しているときに、ふいうちで出合ったもの。 屋外で階段を上がっている途中に、二度見してしまった。 それは、直径2センチほどの小さな苔(コケ)。 見過ごしそうな小ささと、まん丸な球体に惹かれた。 人に踏まれないタイルの隙間に…

もうすぐひな祭り

もう一週間後には、ひな祭りが終わっているなんて気がつかなかった。ひな祭りのお菓子が並んでいるなとデパ地下で何となく見ていたけれど。今週、お茶のお稽古に行ったときのこと。桃をかたどったお菓子や、ひなあられが出てきて、「あ、もうそんな時期なの…

街なかで春の息吹

昼間は上着なしでも過ごせた暖かい一日。 農業に携わる方からは、夏野菜の堆肥を準備しはじめたとの知らせが来た。 日差しに誘われて散歩してみた。 白い縁取りが入った紅椿、いまにも咲きそうにつぼみがふくらんだモクレン、 あまり目立たない場所にひっそ…

雨水のころ

暖かい日がやっと来たと思ったら、 次の日には極寒となり身が縮む。そんな思いをしているうちに、 暦の上では春の2つめの節気「雨水(うすい)」が過ぎていた。 少しずつ寒さがゆるむころ。 雪や氷が溶け始め、水が温み、 土が雨を吸って潤う時季。 昨日、…

旧正月のまちのスケッチ

今朝、通勤途中に地下鉄の乗り換えを聞かれて、 一本やり過ごしてしまった。 きょうは旧暦で一月一日の旧正月。 地下鉄で移動していると、いつもにも増して外国人の人たちが 地図やスマートフォン片手に乗っている光景を見かけた。 乗り換えを聞かれたのは、…

そば湯がうれしい季節

今夜集まりで、そばを食べる機会があった。そばはもちろん、そば湯がおいしい!そば湯だけで飲んだり、そば焼酎と合わせたり、冷たいおそばを食べた後、熱いそば湯を加えて冷たいのと熱いのを二度味わったり。毎朝ご主人が打っているという、そば屋さん。全…

街なかに来る鳥

南天だったか千両だったかの赤い実が家の裏に植わっているせいか、 今年に入ってから鳥の鳴き声を耳にし、その姿を目にするようになった。 街なかで見かける鳥はハトやスズメくらいかと思っていたので、 少し意外だった。 といっても野鳥についての知識はな…

春は名のみ

信号待ちしている間もじっとしていられなくて、体を左右に揺らしたりして気を紛らせてしまった。「春は名のみ」とは、こんな時期をいうのだろうか。 昼食どき、空は晴れているのに雪がちらつき、 吹きすさぶ寒風に身が凍えた。 外から訪ねてきた人からもらっ…

立春のころのスケッチ

凍てつく小学校の校庭で、校長先生が「三寒四温」の話をしていたのは、確か立春を過ぎたこの時期の朝礼だったと記憶している。三日間寒い日が続いた後、四日間は暖かくなる。それを繰り返すうちに春となる、という意味だったか。一日のうちでも昼間の日差し…

春立つ前の日

明日が立春。きょうは節分で、暦の上ではこの冬最後の日を迎えた。 日没は5時29分。 夕方5時30分ごろ外に出てみると、まだほんのりと明るい。 年末ごろは5時には真っ暗だったから、気がつかないうちに 日が長くなっている。 昔のようにこの節気のころには何…