なずなノート

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紅茶専門店「ティーハウス ムジカ」のこと

 いちばん好きな、お茶を飲めるスペースが閉店してしまった。

それは、大阪・堂島の「ティーハウス ムジカ」。

1952年に現・店主の父が開店し、初めはコーヒー中心の音楽喫茶だったのが、

今のマスターが紅茶を開拓。

「日本で初めて紅茶をポットで提供した店」とされている。

 

 数えきれないほど通い、お店にある50種以上のうち全部を

制覇はできなかったけれど、ずいぶん紅茶の魅力を教えてもらった。

 

スモーキーさがクセになるアールグレイや、繊細な風味の日本の紅茶、

あっさりしていて煮出してチャイにしてもおいしいアフリカンジョイ、

どっしりしたセイロンティー、マスカットフレーバーのファーストフラッシュダージリン、キンキンに冷えたアイスチャイ、

リーズナブルでがぶがぶ飲めて家の定番に置いていた「堂島ブレックファースト」……。

 

たくさんの紅茶を味わわせてもらった。

今、お茶が好きだと思うベースには、まちがいなくムジカさんの存在があった。

 

 イギリス風でもなく、アジアのチャイ屋でもなく、

どこかにありそうで、どこにもないような

ゆったりした空間。

 

 壁一面には、世界の紅茶缶やパッケージがてんこ盛りで、

ちょっとした博物館のよう。

 

スコーンもケーキもサンドイッチもおいしくて、

ポットにお湯をつぎ足してもらいながら、ずいぶん長居したこともある。

 

 土曜の昼間は行列していることが多かったが、

土曜夜には人波が収まり、のんびりお茶を飲み、

一週間を振り返りながらクールダウンする、というのが

いちばん好きな過ごし方だった。

 

これからはどこのお店に行ったらよいのか、わからない。

 これもまた、お茶に接するのは一生に一度、毎回異なるものだという

「一期一会」の教えなんだろうか。

 

 自分にとっては当たり前すぎて撮影することもほとんどなかったけど、

手元に壁面を写した画像が一枚だけ残っていた。

また何らかのかたちでお店を始めてくださるといいなあと願っている。

 

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