煎茶道をのぞいて気がつく、抹茶道の特徴
少し前に、煎茶道のお稽古を見学する機会があった。
すると、ふだん接している抹茶道との違いに目が行った。
それは、タイム感というかリズムが違うこと。
お菓子を食べ、二煎目を味わうという順序。
しかも、主客からお詰め(末席の客)まで、お茶もお菓子も一斉にいただくというスタイルだ。
抹茶道は、まずお菓子が主客からお詰めへと回されて、
お菓子を食べてから、お茶を味わう。
薄茶の場合は、亭主が茶を点てたら
すぐに取りに行って、一人ずつ茶をいただく。
客が同時に揃っていただくか、
あるいは一人ずつ順繰りにいただくかでは、
茶会の進行するリズムがずいぶん違うのだと感じた。
抹茶の場合は、茶葉が湯に溶けるわけでなく、
茶筅でシャカシャカと撹拌(かくはん)することで、
いっときなじませているわけで、
時間が経つにつれて湯と茶葉が分離し、
最後は茶碗の底に抹茶が沈んでしまうものね。
だから一人ずつ点てたそばから早く飲む必要があるのだろう。
私も薄茶を点てさせてもらって、でもなかなか飲んでいただけない時に、
「早く飲んで!」と言いたくなったことがある。
そんなこともあって、薄茶が用意されたら
すぐに飲めるようスタンバイしておく、っていうのが
抹茶道の特徴の一つであるのだなあと実感した。
お抹茶はかなり濃いから、先に甘い物を食べて胃に入れておくという話も聞いたことがある。
何にせよ、理にかなっているということか。
「少なっ」と思うほど少量の茶が注がれる。
50度の湯で淹れた玉露は、甘くて後味に苦みがあり、
濃厚だった。
ふだん飲んでいる煎茶とは大きく違っていて、新鮮な体験だった。