レピッシュDVD「LÄ-PPISCH 25th Anniversary Tour ~六人の侍~ at SHIBUYA-AX 2012.11.22」
「Dedicated to Gen Ueda」
何よりも先に出てくるこの一行に、バンドの意志が感じ取れる。
レピッシュ25周年ツアーファイナルを収めたDVD。
「六人の侍」と銘打ったメンバーは、
レピッシュのマグミ、杉本恭一、tatsuの3人と、
サポートメンバーの矢野一成、増井朗人と奥野真哉、
いずれ劣らぬ強者揃い。
それでもってメンバーの演奏はもちろん、音響、照明……スタッフの思い、
観客の熱が合わさって、この日のAXは、
とんでもなく祝福された空間だったと思う。
そして、消えていくその瞬間をDVDで追体験できる有り難さ。
当日、この場にいたけれど目に入らなかったものを
たくさん見せてもらえる。
ノーカット、無修整の149分。ほんと潔い。
そこに映るのは、六人の侍たちの生きざまだ。
時に奥野さんのキーボードソロを見守り、
体を揺らしながらもリズムを支えるtatsuさんは、
まさにレピッシュのベース=土台だ。
「最高にいいベースを弾きます」と、マグミさん。
「この一年間で一番成長した。
(ライブ直前の)この3日間もサックスを猛練習して、吹ける曲がずいぶん増えた」と
マグミさんが紹介したのは、奥野さん。
だって、この年の3月にはまだサックス吹けなかったのですよね?
猛練習して現ちゃんの世界に近づいてくれた奥野さんの心意気に感謝。
トロンボーンの増井さんは、デビュー以来25年の仲。
「曲ったことが嫌いです」と、あうんの呼吸。
20周年ライブからドラムを叩く矢野さんには
「リズムはバンドの個性を変えてくれる。
今のレピッシュは、間違いなく矢野サウンドです」と。
この時の矢野さんの笑顔もぐっときた。
「上京してポップミュージック研究会に入った時は
いちばんギターが下手かもしれない、って言ってたけど、
今では、どのバンドにも負けないギター弾き。
最高の相棒」とマグミさんが紹介したのは、恭一さん。
そして、歌って踊ってジャンプして、
おまけにダイブして、客席のいちばん後ろまで行ってターンして、
客のうえを泳いでステージに戻って、歌ったりトランペットを吹いたりする超人、マグミさん。
サービス精神のかたまり、あるいは楽しませる大王!
そして、現ちゃんのメンバー紹介も。
「もし現ちゃんが今日ここに来てたら、
ちょっとは上手くなったって言ってくれるんじゃない?
そして、俺も『なかなか君の曲もいいんじゃない』って」。
「今日、ここに立つまでにいろんな気持ちを背負ってきた」
というようなことをマグミさんが話した時、
レピッシュのデビュー当時から付き合いのある
佐々木美夏さんのツイートを思い出した。
それは、「楽曲や演奏の、クオリティはもちろんだけど、レピッシュというのは、『気持ち』と『意志』のバンド」というもの。納得。
このライブをもって、レピッシュとしての活動は
いったん白紙となった。
寂しい。でも、ドラムの雪好氏の脱退、上田現ちゃんの脱退そして他界……。
数えきれないほどの波をくぐり抜けてきたバンドだから、
風をよけつつ起こしつつ、何とか次も。と期待するばかり。
ちなみに私の好きな画は、
「ハーメルン」の冒頭、マグミさん、恭一さん、tatsuさんが
浮かび上がってくるところ。
好物のツボは「アニマルビート」でマグミさんのアドリブに、
矢野さん、奥野さん、tatsuさんの3人がウケているシーン(笑)。
願わくは次は30周年とかじゃなくて、近い未来に、またライブに立ち会えたらうれしいな。