なずなノート

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「江戸時代の千家のわび茶  宗旦の高弟とその弟子たち」展

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 湯木美術館で開催中の
「江戸時代の千家のわび茶  宗旦の高弟とその弟子たち」展へ。

 千宗旦(せん そうたん)は、千利休の孫。
生涯、官職に就くことなく自身の「わび茶」を深めた人物。
花入も掛け物も必要としない、床の間もない
一畳半 の茶室、一閑張(いっかんばり)と呼ばれる漆器などの
わびたデザインに特徴がある。


この展覧会では、宗旦を中心に、
利休が書いた日記(の一部)、高弟とその子孫にまつわる
作品が展示されている。
気になった作品の備忘録。


ぐっとつかまれた作品ツートップは、ケース3の筒茶碗と
ケース6の利休像画賛。

◆ケース1
「随流斎好真塗手桶水指(ずいりゅうさいごのみ しんぬりておけみずさし)」

17世紀(江戸時代)

表千家5代 随流斎のお好みという。
黒漆がていねいに塗られた手桶形の水指。

蓋表と蓋裏の花押(かおう)は、
表千家7代 如心斎(じょしんさい)による。

漆の、とろりとした質感が美しい。

◆ケース3
「赤茶碗 銘「槌之絵(つちのえ)」左入作
 「茶器名物図彙」所載、左入二百の内 江戸時代(18世紀)

1733(享保18)年に黒茶碗百碗、赤茶碗百碗の計二百碗が
製作され、表千家7代  如心斎が銘をつけた
「左入二百」のうちの一つ。

 

おめでたいモチーフの小槌が描かれている。
釉薬がの砂が全体にかかっていて、持った時に
ザラザラしそうだけど、どうなんだろう。

 

◆ケース4
黒筒茶碗 銘「シヤカカシラ」 覚々斎泰叟(かくかくさいたいそう)作

江戸時代(18世紀)

 

表千家6代覚々斎原叟(1678〜1730)による、
黒の総釉(そうぐすり)の筒茶碗。
千家家元の中でも覚々斎は独創的な茶碗を手造りした。

高さ9.0cm、口径8.5cm、高台径3.9cmほどの
小ぶりながら存在感があり、覚々斎手造りの優品。

この茶碗にはぐっときた。斬新。自由!
ぱっと見たとき、「スカル(頭蓋骨)」っぽいと思った。
細くてゴツゴツした風貌だから。

説明文に「仏頭を思わせる形状による銘と思われる」と

あったから、当たらずとも遠からず、かもしれない。


下から眺めると、波打つ釉薬や
おそらく指の跡が見てとれる。

不揃いでゴツゴツで、
でも持ってみたら案外いいやつ、
というか手になじむ感じなのかなあと想像する。

◆ケース6

ケース6
利休像画賛(りきゅうぞうがさん) 仙厓義梵(せんがいぎぼん)筆
江戸時代18〜19世紀


禅と茶を伝えた栄西が開いた日本最初の寺院、聖福寺(しょうふくじ)の住職。
教化のために独自のユーモアに富んだ墨絵を多く手がけた。

仙厓は、茶は心を養うものだとし、
唐土(もろこし)の 梢の露は日の本の
若葉摘みぬる 神に湿う」の自作の歌から
「若葉」と銘した自作の茶杓などが残る。

画は、茶器と茶碗、茶杓を置いて利休さんが正面を向いて座った姿。

賛(漢詩)は、
釈迦佛天下人(釈迦は悟りで天下人)
仲尼仁天下人(仲尼=孔子は仁で天下人)
大膽哉利休(大胆かな利休)
茶天下人(茶で天下人)

と利休を讃える詩。


口のまわり左右に3本ずつのひげ(あるいはシワ?)が描かれていて、
それが猫みたいに見える。マンガっぽくておもしろい。

たとえ漢字が読めなくても、この絵の雰囲気を見ているだけで

仙厓が利休を讃える気持ちや、お茶の世界の素敵感は伝わるんじゃないかなあ。
茶杓「若葉」も、現存するならばぜひ見てみたい。

 

◆ケース8

瓢花入(ふくべはないれ) 銘「面壁」 千宗旦作 江戸時代(17世紀)

 

背中を丸めた人があぐらをかいているような印象の、ひょうたんの花入。

銘についている「面壁」とは、壁に向かって座禅すること、だそう。なるほど。


仕事の合間に行ったので、小一時間ほどの見学だったけど、
ひととおりは見て回れたので、満足。
作品を理解する力がなく、良さがわからないものも多数であることよ。
でも、まあここが第一歩としよう。

この展覧会は3月17日まで開催中。

 

(太字は作品名と、展示の説明文を引用)