なずなノート

お茶や暮らし、映画、日々の発見をぼつぼつと、ぶつぶつと

茶を淹れたくなるとき

 明代の中国で、 許次紓(きょじじょ)が茶にまつわる
こんな漢詩を詠んでいる。
……
心手閑適  披咏疲倦  意緒棼亂……
「飲時」 「茶疏(ちゃそ)」より

(訳)
こころも手もひまなとき
読書や作詩にあきたとき
こころが混乱したとき


そんな境地を真似て、
お茶を淹れるときを集めてみた。
抹茶ではなく日常のお茶を無性に淹れたくなったのは、ここひと月では、こんなとき。

仕事が行き詰まって気分転換したいとき
イライラ、ムシャクシャが止まらないとき
アタマが混乱し、心身ともに動かないとき
家を訪れた人に歓迎の気持ちをあらわすとき
お世話になった方の訃報を聞き、何も手に付かないとき

あまりハッピーな状況でないときでも、
起き上がり湯を沸かし、茶葉をはかって茶を淹れる。
一連の作業は、日常の時間にあって句読点をつけるような、大事な時間。
淹れたお茶を誰かがよろこんでくれたらなお有り難いが、
それはおまけで、目的ではないような。

人に茶を提供した後、自分でも味わうと、
ザワザワした気持ちがまったく収まるわけではなくとも、
さっきのポジションとは少し違う心持ちにはなっている。

お茶の時間を必要していることを実感するのは、こんなときである。