なずなノート

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初雪のころ

 「あ、雪になりました」。

運転手さんが静かに、でもちょっと弾んだ声で教えてくれた。

 

日付が変わるころ。

まだ電車は動いているものの、外に出たらものすごく寒くて

雨かみぞれのようなものが降っていて、しかもへとへとだったので、

ぜいたくにもタクシーに乗ってしまった。

 

車の通りが少ない時間でもあり、日ごろ自転車で走っている道を

ぶっ飛ばしてくれるのは、とても気持ちがいい。

車道からは、自転車はこんなふうに見えるんだなとわかり、

勉強にもなった。逆走で、しかも無灯火は「ダメ、ゼッタイ」だなと確認した。

 

そうしてもうすぐ家に着こうとするあたりで、

タクシーの運転手さんが、雪が降り始めたことを教えてくれた。

細かくて雪の存在ははっきりとは見えなかったけど、

目でフロントガラスにジャリッとくっつく雪のようなものを見ながら、

「冷え込むはずですねえ」と話した。

 

朝になってニュースで「19日未明に初雪を観測」と伝えていたので、

初雪をリアルタイムで体験できたようではある。