秋晴れと富士山
新大阪から東京へ新幹線で向かっていたときのこと。
「お客様にご案内します。
ただいま前方左側に、富士山がきれいに見えます」。
というようなアナウンスがあった。
身を乗り出してみると、ほんとにくっきり。
秋晴れの青空に、頂上に冠雪した富士山がきれいに見えた!
窓側の席ではなかったのでデッキへ移動してみる。
すると同じことを考える方々があり、先客が撮影されていた。
ぼんやりと待っていると、手を差し出し、
すぐに場所を譲ってくださる。
こちらも2、3枚撮影し、次の方に譲った。
なんとはなく、自然とルールができていた。
ヨーロッパからの飛行機で、早朝に成田に到着する便に乗ったら
上空から富士山が見えてきれいだった、という話を聞いたことがある。
そちらも憧れるけれど、新幹線からの富士山の眺めも十分美しい。
こんな日に乗車すると、あたりだったなと感じる。
日暮れどき、新大阪に戻るとキンモクセイの香りが漂っていた。
ホームから花の姿は見えないけれど。
地味ながらも秋の息吹に触れて、しみじみ深呼吸した。