ちょっとほのぼのしたはなし
JRで京都から大阪へ移動していた時のこと。
新快速電車が高槻へ停車した。
すると、「ちょっと待ってください」とホームで男性の声がした。
声の方を見ると、男性が電車を降りて小学生の女の子を追いかけていた。
といっても怪しい話ではない。
階段を上りかけていた女の子が車内に置き忘れたバッグを、男性が手渡していた。
その途端、ドアが閉まり、電車が動き出した。
男性は電車に乗りそびれてしまい、一瞬、「あちゃー」という表情で
天を仰いでいたけれど、高槻駅の反対側ホームに停車中の普通電車に目をやっていた。
新快速車中から見えたのは、そこまで。
新快速に乗っていたからには先を急いでいたのでは。大丈夫かな、などと
頭をよぎったものの、ほんの一瞬の出来事ではあったけれど、
その方のいいひとっぷりが伝わってきて
じーんとした。
たまたまかもしれないけれど、なかなかそんな風に
人のためにできることってないよね、と電車に乗りながら思っていた。