本の拾いもの
ためになるような書き込みやおもしろい落書きのある
古本、しおりも含めてには相応の値をつける古書店があるらしい。
先日、雑談中にそんな話を聞いた。
同じころ、ビルの古紙置き場で見つけて拾った本がある。
『季語集』。
近くで句会が開かれているから、もとの持ち主はその参会者か。
状態がきれいなその本を開いてみると、
「貝寄風(かいよせ)」「山眠る」「ブルーヘイズ」など、
季語がマルで囲んである。
なかなか熱心に俳句を詠む方かと想像する。
一緒についているしおりには、
「どこかで春が生まれてる」、「杜子春」、「八十八夜」と手書きでメモされている。
まったく知らない俳句の世界だけど、
句作に頭をひねっている様子が浮かんだ。
季語集の春の項にはちょうどいまの時期、
「彼岸の入り」のページもあった。
紹介されている句は、正岡子規の
「毎年よ彼岸の入りに寒いのは」。