なずなノート

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淡いインド映画『めぐり逢わせのお弁当』

 歌や踊りがてんこ盛りでストーリーも単純明快!

そんなインド映画への先入観を一新するような作品に出合った。

『めぐり逢わせのお弁当』。

 

夫のために作ったお弁当を、ひょんなことから

まったく知らない男性が食べることになり、

お弁当を通じて顔を知らない同士の二人に交流が芽生えるストーリー。

 

「弁当配達人」を意味する、ダッバーワーラーという職業がムンバイにはあるのだそう。

彼らは各家庭に出向いてできたての弁当を引き取り、自転車で駅へ運ぶ。

弁当は電車の屋根!に載せて運ばれ、着いた駅からリヤカーまたは自転車で

オフィスまで届けられるという仕組み。

 

届け先を間違う確率は、なんと600万分の1!

あり得ないほどの確率で、たまたま違う人のもとへ届けられて、

作る人、受け取る人どちらにとってもかけがえのない存在となる。

顔を見たことないのにもかかわらず。

 

余白のある主人公たちのあり方から、なぜか小津作品を思い出した。

慎みのあるふるまい、はっきりと言葉に出さない余韻、といったあたりか。

 

ひとくくりにまとめて語ろうなんてことができない

インド映画は、さまざまな顔を見せてくれて

もっともっと観たくなる。

 

2014年12月、塚口サンサン劇場で鑑賞。