映画『ストックホルムでワルツを』のつづき
スウェーデンの国民的歌手モニカ・ゼタールンドが
田舎町の電話交換手から栄光をつかむまでを描いた映画『ストックホルムでワルツを』。
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この映画を観ていて気分がいいのは、人がうらやむ輝かしい面だけでなく
転落や挫折、葛藤やどん欲さもしっかり描かれているからだと思う。
シングルマザーゆえ娘を両親に預け、自分は夢に向かって突っ走る、
住む所がなければ男を利用する、
ものすごく世話になっているのに、夢半ばであきらめた父のことを
けちょんけちょんに言い放す、などなど。
「拍手がなければ3分も持たない」と批判されても、
「夢があるなら待ってるだけじゃダメ」と意に介さず。
それでも何もかもうまくいかなくなると、
モニカは「一瞬ですべてを失う怖さがわかる」という境地に至る。
どん底を知ったシンガーの覚悟、歌のちからが迫る。
そして身近な人々、とくに家族との関係もじわじわくる。
辛辣な言葉をぶつけてきた父が、復活したモニカの姿に
「木の上からの眺めを見せてくれて、ありがとう」と感謝するシーンが印象的。
そして、どんなときにでも味方でいてくれる、腹心といえる存在の有り難さも。
実話ベースの作品だということも興味深かった。