なずなノート

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松竹座で二月大歌舞伎を観るの記

 『中村翫雀改め 四代目中村鴈治郎襲名披露
二月大歌舞伎』昼の部を、松竹座で観る機会があった。

初心者であっても舞台の華やかさはしっかり楽しめた。
イヤホンガイドを借りると情景を説明してくれることもあり、
特にわかりやすかったのは、踊りである。

かつて遊女であった八重桐という女が、
遊女同士の諍(いさか)いや、それをまわりで見ている野次馬の遊女たち、
おじいさんやおばあさん、群衆を、
たった一人の踊りで表現する『こもち山姥(やまんば)』。
八重桐を演じるのは中村扇雀

人形師の左甚五郎が、廓で見初めた花魁を忘れることができず、
なんと等身大の人形を彫り上げた『京人形』。
人形を眺めて酒を飲んでいたところ、いつの間にか人形が動き出す。
試しに女の魂とされる鏡を人形の懐にしのばせたところ、
途端に女性らしい動きを見せ、踊り始める。
鏡を取り上げるとぎこちない動きとなり、
また鏡を戻すと女性の動きとなる。
その対比は理屈なしに笑いを誘う。

そういった演目からだと初心者でも歌舞伎の世界に入りやすいのかなと感じた。
理解はできなくても、きらびやかな衣装、舞台装置、
浄瑠璃や三味線の演奏などを
わからないなりに味わわせてもらう。
それで十分かなと感じた。