なずなノート

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大阪の映画館「梅田ガーデンシネマ」「千里セルシーシアター」が閉館

今週のお題「2014年のお別れ」〈2014年をふりかえる 3〉

 

今年、大阪で映画館が2館閉館した。

 

新梅田シティの「梅田ガーデンシネマ」は、2月末で16年の歴史に幕を閉じた。

 

超メジャーな作品とは距離を置き、海外および日本の誠実に作られた名作を上映し続けてきた。

後のゆるめの映画に続いた「かもめ食堂」や、

カンヌ映画祭でも評価された「誰も知らない」をはじめ

是枝裕和監督の作品を早くから紹介。監督自身もトークなどでたびたび訪れた。

これまで自分がいちばん多く訪れた映画館でもある。

 

 一方の「千里セルシーシアター」は1972年にオープンし、

約42年間スクリーンで上映を続けた。

地下の飲食店街の奥、「こんなところに映画館なんてあるの?」と

思うような場所にひっそりあった。

 

ほかの映画館より3か月から半年ほど遅れて良作を上映。

ゴダール特集なんかもあった。

 

どちらも今となってはめずらしく自由席で

ウエブサイトはあるもののツイッターは最後までなし。

ツイッターで随時発信という劇場が多いなか、その潮流には乗らなかった。

そういったあたりがどう影響しているのかはわからないが、

どちらも声高にアピールすることはなく淡々と、

そしてスタッフはいつも温かく迎えてくれた。

 

ともにずっとそこにあるのが普通、という感覚で特別意識したこともなかった。

それが観客としては突然閉館を知らされ大いにショックを受けた。

行きつけの映画館がなくなるのは初めてのことだったので。

 

ただ映画を観るでなく、

「この劇場でこの映画を観た」という記憶をたくさん与えてくれた2館には、ずっと感謝している。

でもやっぱり寂しい。

 

それで今は、関西にまだある意欲的な取り組みをしている映画館へ

応援も兼ねてできるだけ足を運ぶようにしている。

一人ができることは知れているけれど、

少しでも力になれたら。

それは自分にとって居心地のよい空間があり続けてほしいという願いでもある。