なずなノート

お茶や暮らし、映画、日々の発見をぼつぼつと、ぶつぶつと

能舞台の空間

 能舞台には幕がなかった。

何もないところに演者や囃子方地謡が入り、演目が行われる。

舞台を見て左側に伸びる廊下「橋掛り」を演者が通る入場や退場も見せ場となる。

 

これは何か似ていると考えたら、茶の湯だった。

道具を一つあるいは二つずつ運び入れ、茶を点てる。

終う際は道具を入ってきた時とは逆の順序で運び出す。

いちばん初めに持って入ったものを、いちばん最後に出すというような。

 

そして最後は元通りの空間に戻る。

何もないところから始まり、いろいろ入ってにぎやかになって、

また無に戻る。

その感覚がおもしろく感じられるようになってきた。

あるいは人のあり方に通じるのかもしれない。