重陽のころ
菊の節句であり、陰陽思想で奇数は「陽数」とされることから、
「九」はいちばん大きな陽数となるのでおめでたいともされる。
一月七日、三月三日、五月五日、七月七日につづく五節句の最後でもある。
平安時代には観菊の宴が行われ、菊酒を楽しんだという。
辞書を調べると、「菊花の宴」「菊の節会(せちえ)」といった言葉が並び、
雅やかでかぐわしい印象を受ける。
とはいえ旧暦でいうところの節句なので、
菊が見頃を迎えるのはもう少し先。
きょうも残暑が厳しく、夏の花のヒマワリやサルスベリが咲いているし、
感覚としてはあと1か月くらい先のことなんだろう。
菊を愛でるような風流なことは何もできなかったけれど、
ヨーロッパからやって来た可憐な花の茶を飲みながら、
華やかな宴を思うには……ちょっと遠すぎるほど
地味な一日であった。
空には時折雲隠れしながらの満月。