手土産は難しい
時々お菓子をいただく機会がある。
ことにお茶のお稽古では先生や生徒さんがどこかに行った折に
買ってきてくれたお菓子のおすそ分けを、しばしば頂戴する。
圧倒的にもらってばかりなので、どこか遠出した時には
お返しとまでは行かなくてもこちらも買うようにしている。
でもそのセレクトが難しい。
いまだ敗戦気分ばかりだ。
昨年末のこと。
よくあるおまんじゅうや最中は食べ飽きているかなと思い、
お茶の教室のみなさんへ、ちょっと面白味のあるお菓子を持参した。
和と洋があわさったようなコーヒーにも緑茶にも合う、
口の中でほろっと崩れる個性派。
すると反応は……、何とも。
「変わったお菓子ですね」の後、しばらくして
「おいしい」のお声をいただく。
事情通の方にこの話をすると、
「茶の湯の世界は保守的なんだから、冒険しないほうがいい」
と諭された。
ほかには美容院で強引に予約を入れてもらったとき。
お客さんの目に触れないよう、そっとスタッフにお菓子を渡したつもりが
「お土産いただきました〜」と店長に報告されたので
思いがけず目立ってしまった。
押しつけがましくなく、さらっと、
何となくおいしい印象だけが残る。
そんな手土産の術を習得できたらと願うものの、
道はほど遠い。でも定番だけだと物足りない。
思わぬ「めっけもの」に出会えることを楽しみに、
もう少し攻めの姿勢を続けたい。