なずなノート

お茶や暮らし、映画、日々の発見をぼつぼつと、ぶつぶつと

35th anniversary「ゴンチチ 春の生音三昧」3月2日

 

ギターの音色だけが響く、しあわせな空間だった。

ゴンチチの35周年生音コンサートに出かけた。
ゴンチチは、ゴンザレス三上さんとチチ松村さんによるギターデュオ。
会場は、クラシック中心のコンサートホール「いずみホール」。

普段オーケストラの楽員何十人もが演奏するステージに、
この日はゴンチチのお二人のみ。

舞台にセッティングされているのは、
それぞれにギター2本とウクレレ1本ずつ。
あとは話す用のマイクとドリンクと、いたってシンプル。

1曲目「あの夏の少女たち」が始まると、音の繊細さに驚いた。
曲が終わるとチチさんが「最初は聴きにくいけど、
すぐに耳が順応しますよ」と話してくださったので安心。

確かに曲が進むごとに、生音に耳が慣れてきた。

すると、聴こえてくる音がいくつもあるのに気がついた。
 
弾き方の強弱がそのままあらわれる音、
指を移動させるときの「キュッ」というかすかな音、
足でリズムを取る靴音…。
 
見たままに音が伝わるのは、なかなか新鮮だった。
それらはマイクが拾わない音、あるいはマイクを通したら均一に聞こえる音なんだろうな。
 
全部の音が伝わってしまうんだから、
演奏者は一瞬たりとも気が抜けないね。
その緊張感は聴き手にも求められる。
 
時節柄、まったく咳払いがなかったわけではないが、
客は、時には咳をこらえ、くしゃみをガマンし、
ギターの音だけが響く空間づくりをサポートした。
 
演奏する側と聴き手。
どちらもが合わさって、
コンサートを作っているんだなあと実感した。
 
「今(曲間)は咳をしていいんですよ」とか、
「(ホールの響きの良さにより)拍手が音のシャワーになって伝わりますね」といった、
チチさんのほんわかしたMC、そして三上さんとチチさんのやり取りも、かなりのツボだったんだけど、
その話は、また改めて。