なずなノート

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70年代の熱気が詰まった映画『県警対組織暴力』

 自分の中に隠れていた荒くれ者の血が騒いだ、ような気がする。

 

「特集上映 銀幕にすべてを捧げた“男”の華が、映画の花道に咲き誇る

高倉健菅原文太追悼上映』」で取り上げられた映画『県警対組織暴力』。

 

「Don't think, Feel」とブルース・リーが語る映画を昨年観たのも

この劇場だったけど、本作はまさにそう。考えているひまがない。

 

時は昭和32年。

とある地方都市・倉島市を舞台に、組織暴力同士の争い、県警捜査刑事と組織暴力との攻防や癒着、友情を

何が何だかわからなくなるほど、ごちゃ混ぜに描いた作品。


使命に燃えているように見せかけて権力におもねる刑事、

警察を辞めて組織暴力に転身する輩、組織暴力に身を置く者と刑事の間で育む友愛。

何が正義で何が悪なのか、揺さぶりをかけられて、

よくわからなくなる。

誰かのセリフにあった、「仁義のかわりに法律がものをいう」

のが両者の違いのよう。

 荒っぽい場面もたくさんある、しかも笑えるところもちょこちょこ。


追悼上映なので、主役の菅原文太は文句なしにかっこいい!

でもこの映画がすごいのは、70年代の熱い空気感が

ギュッと詰まっているところだと思う。

エログロ、バイオレンスなんでもあり、モラルを飛び越えた

エネルギーの放出量が半端ない。


松方弘樹、梅宮辰夫、山城新伍、川谷拓三……、錚々たる顔ぶれが

スクリーンの大画面いっぱいに、「カメラ、近いっ」と感じるほど迫力満点で迫り、ぐっとつかまれた。


有名なシーンに、刑事役の菅原文太山城新伍が、

組織暴力川の川谷拓三をボコボコにする場面がある。

今では三人とも鬼籍の人となってしまった。


もちろんそこも見ものなんだけど、ほかにもしびれるシーンはごろごろある。

こんな機会でもなければ絶対に出合えなかった。


深作欣二監督作品。

1975年4月26日公開、

2015年2月、塚口サンサン劇場で鑑賞。

公開当時と同じく35ミリフィルム上映で観られることに感謝。