映画館の記憶
ちょうど一年前の二月末に、梅田ガーデンシネマが閉館したことを思い出した。
国内、海外のよい作品を、声高に宣伝するわけでもなく
粛々と上映する姿勢が大好きだった。
まさかなくなる日が来るなんて考えたこともなかったので、
一昨年末に閉館の知らせが発表されたときには心底驚いた。
2014年初めに『そして父になる』のティーチインの際に
是枝裕和監督が「映画そのものだけでなく、
どこで観たかが記憶に残る」
という旨をお話されていた。
本当にそう思う。
ガラス張りのロビーは、昼間は日差しがまぶしいほど快適。
夜はがらっと雰囲気が変わり、街の灯りを眺めていた。
今よりも長い350メートルの地下通路を歩きながら、
友達と映画の感想をずーっと話し合っていた。
話の内容はまったく覚えてないけど、その熱い感覚は残る。
いつまでも あると思うな 映画館
現在もシネ・リーブル梅田としてあることをありがたく思いつつ、
ガーデンシネマの終わりを経て
新たな映画館を訪れる始まりにもなった。
今年は映画館でどんな記憶をつくれるだろう。